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かえる。

ハワイ語の第一歩、「アロ?ハ!」

北鎌倉ハワイアンセンター

2012年2月22日|森下 茂男

パック旅行でのハワイ。朝、ホノルル空港に降り立つと、プルメリアのレイなどが放つ、えもいわれぬ南国の甘い花の香りがウエルカムと出迎えてくれる。そして、イミグレーションと通関を無事に通過したあと、バスで半日島内観光にでかけることになる。つまり、ホテルのチェックインまでの時間調整となるわけだが、バスの車内では、妙にハイテンションのガイドさんから、「アロ?ハ!」とマイクでのご挨拶…、といったぐあい。

このアロハという言葉は、世界で最も有名なハワイ語なのだろう。朝起きて、ホテルの人から「アロ?ハ!」と声をかけられ、昼、ショッピングにでかけると、お店の店員さんから「アロ?ハ!」。そして、初対面の人からも「アロ?ハ!」で挨拶され、夜、食事にでかけても、注文を取りにきたお姉さんから「アロ?ハ!」。最後には、帰りの空港に向かうバスの運転手さんから別れぎわに「アロ?ハ!」と、いわれる。

ハワイの人たちより少しだけ几帳面な日本人にとって、朝は「おはよう」だし、昼は「こんにちは」、そして初対面の人には「初めまして」と挨拶を交わすのだけど、ハワイ語では別れの挨拶でさえ「アロ?ハ!」なのである。現在、ハワイでは、アロハは便利な挨拶として使われているけれど、本当にそんなあいまいな言葉なのだろうか。

ハワイ語のアロハ(正確な発音はアロハー)の意味をひも解くと、アロハは、アロ(ALO)とハー(HA)の二つの単語で構成された言葉であることがわかっている。アロ(ALO)は面前とか正面を意味する名詞で、ハー(HA)は呼吸するという動詞だ。この二つの言葉が合わさったアロハは、古代ハワイ社会では、道端などで人と人がであったさい、お互いのオデコとオデコ、鼻と鼻をくっつけあい(面前で/アロ)、相手の呼吸(ハー)を確認するという挨拶のしかたから生まれたとされている。つまり、古代ハワイアンたちは、現在のように「アロ?ハ!」といい合って挨拶を交わしていたわけではないのだ。お互いのオデコとオデコ、鼻と鼻をくっつけあうこの動作をホニ(HONI)といい、現在では抱擁、キスという意味になっている。

このように古代ハワイ社会では、アロハという相手の存在を確認しあう慣習によって挨拶を交わしていたわけだが、アロハという古代ハワイ式の挨拶にはおもしろい逸話が残っている。

はじめてキャプテン・クックがハワイ島に上陸したときのエピソードだ。上陸したキャプテン・クックは、出迎えていたときのハワイの王様、カメハメハ大王に歩み寄り、西洋式の挨拶をするため手を差し出した。当然、カメハメハ大王はハワイ式の挨拶、アロハをしようと思っていたに違いない。しかし、キャプテン・クックはカメハメハ大王の手を握り、シェイクハンドを交わしてしまった。こうして、以来ハワイアンは白人のことをハオレ(正確な発音はハーオレ)と呼ぶことになる。ハオレとはハー(HA)+オレ(OLE)、ハー(HA)は呼吸するという意味と先ほど書いたが、それに否定するハワイ語オレ(OLE)が付け加えられると、つまり、存在していない(呼吸していない)という意味になる。こうして、ハワイ式の挨拶を交わさなかった白人(キャプテン・クック)は、ハワイアンにとって呼吸しているかどうかわからない相手、つまり存在を確認することができなかった相手なのであった。

こうして、現在ではアロハは挨拶代わりに使われているけど、ハワイ語の辞書によれば、アロハは愛情とか思いやり、親切、慈悲、同情、そして、手紙の書きはじめの挨拶、という意味として定義されている。
それでは、アロハという挨拶の言葉を使った用例を次にあげておこう。

Aloha kakahiaka(アロハ・カカヒアカ):おはよう/Good morning
Kakahiaka(カカヒアカ)は、ka(カ)+kahi(カヒ)+aka(アカ)の3つの言葉からなり、ka(カ)は定冠詞(英語のthe)を表し、kahi(カヒ)は少しを、aka(アカ)は影を意味している。つまり、カカヒアカは、東の空に太陽が昇り木々や建物の影が薄くのびる朝の情景を表現している。これに親愛の印であるアロハがついて、Aloha kakahiaka(アロハ・カカヒアカ)は、朝の挨拶となる。早い、夜明けを意味するwana’ao(ワナアオ)にアロハをつけたAloha wana’ao(アロハ・アナアオ)は、早朝の挨拶として交わされる。

Aloha awakea(アロハ・アワケア):こんにちわ/Good day
Awakea(アワケア)は、影のない状態で、太陽が真上にあり、影のない正午を示す言葉だ。Aloha awakea(アロハ・アワケア)で、昼の挨拶になる。

Aloha auinala(アロハ・アウイナラー):こんにちわ/Good afternoon
Auinala(アウイナラー)は、aui(アウイ)+na(ナ)+la(ラー)の3つ言葉からなり、aui(アウイ)は通り過ぎるを、na(ナ)は、?に属するという意味の前置詞、la(ラ)は太陽を、それぞれ意味する。auinala(アウイナラー)で傾いていく太陽を表現している。Aloha auinala(アロハ・アウイナラー)は、夕方に交わす挨拶だ。

Aloha ahiahi(アロハ・アヒアヒ):こんばんわ/Good evening
Ahiahi(アヒアヒ)は、ahi(アヒ)+ahi(アヒ)で、ahi(アヒ)は燃えるという意味で、同じ言葉を重ねる場合は連続を意味している。太陽が沈み地平線(kukulu/ククル)がどんどん燃えているという夕焼けを表現している。こうして、Aloha ahiahi(アロハ・アヒアヒ)は、日没前後からの夜の挨拶に使われる。

Aloha mai(アロハ・マイ):ようこそ。
Mai(マイ)は話し手のほうに向かう言葉。反対語のaku(アク)は相手側、話し手から離れる方向。
[例]Hele mai(ヘレ・マイ):来る He mai(へ・マイ):いらっしゃい。

Aloha au ia ‘oe(アロハ・アウ・イア・オエ)/I love you
Au(アウ)はわたしという一人称を Ia(イア)は、?ために、’oe (オエ)はあなたを意味し、Aloha au ia ‘oe(アロハ・アウ・イア・オエ)で、愛していますという意味になる。

Aloha kakou apau loa(アロハ・カーコウ・アパウ・ロア)/Love to all
Kakou(カーコウ)は私たちを、 Apau(アパウ)はみんな、loa(ロア)は非常にという意味で、Aloha kakou apau loa(アロハ・カーコウ・アパウ・ロア)は、家族や親しい人たちみんなに対しての親愛の情として表現する。

次回は、食べるという言葉、AI(アイ)からハワイ語がはじまったというお話です。

A hui Hou, Malama Pono

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