エルメスの世界
1998年、パリのサントノーレ24番地にいた。
そのウインドウは独創的な美しさで飾られていた。
冬のパリの厳しい寒さとはうって変わり店内は顔がほてるほどに暖かかった。
そこは香水やシルク、そして革の匂いで満ちていた。
店を出る時に笑顔とともに渡された一冊の「LE MONDE D’HERMÈS」。
その時から僕は「エルメスの世界」に魅せられることになった。
1972年より刊行されているエルメスのカタログ「LE MONDE D’HERMÈS(エルメスの世界)」。92年からは年間の刊行数を1冊から春と秋の2冊に変え、これまでに60号以上が創られている。
エルメスと共に作品を創り上げるアーティスト、フォトグラファー、ライターのオリジナル作品がある。
エルメスの製品がウインドウと同じようにアーティスティックな華麗さで並んでいる。
エルメスを創りだす「職人」の姿が真っ直ぐな視点で描かれている。
エルメスの世界がこの書籍の隅々にまで散りばめられている。
「最高の品物を用意します、それを御ろすのはお客様自身です。」ロゴマークに描かれた馬車と従者はこの想いを表している。
パリ郊外にある工房には本店内の様子がモニタでいつも映しだされている。職人たちに直接お客と接することを忘れない為だという。
「LE MONDE D’HERMÈS」はエルメスが創るカタログである。
2013年、あれから10年以上が経った。
まだまだ僕は「エルメスの世界」に魅せられている。