福富書房

かえる。

books moblo 訪問記(ZINE をつくるということ。)

世界一周しています!

2012年1月18日|長綱 淳平

『旅』のはなしを誰かに伝えたくて、僕らはZINE を作り始めました。

「ZINE(ジン)!?…それって何?」ということになると、その定義には様々な説があるようで、一概に「これが、ZINE だ!!」…とは言い難かったりもするのですが、それでもあえて簡単な言葉で、その『見た目』だけでも説明するなら、自主制作による小冊子というか、雑誌まがいの『しおり』的な印刷物というか…。例えば、家のプリンターで印刷した数ページをホッチキスでパチンと留める…って、ただそれだけでも ZINE の世界では立派な『いっちょまえ』なのであり、その気軽さと自由さに魅了されて、僕らは『ZINE 職人(自称)』になったのである。
ちなみに、僕らが作っているのは『旅の記録(記憶)』を国別(地域別)にまとめた冊子で、写真と日記的な文章を構成の軸にしながら、旅する日々の空気感を伝えようというもの。
…旅のジンだから『 travel zine 』…
安易ではあるが分かりやすいネーミングをアタマに冠して、制作活動をスタートしたのであった。

創刊号の『vol.1 ZIMBABWE(ジンバブエ)』を作ってた時は何だか手元も覚束ない感じだったけれど、そこはやっぱり号を重ねるごとに「伝えたいことを、どうやって表現するのか。」という方法論やスタイルが少しづつ確立され始めてきて(素人なり/僕らなりに)、制作に掛かる費用や適正な紙の種類等、細かいこともある程度までは把握出来るようになっていったのである。
勿論、手作りで『あの価格』じゃ『儲け』など考えようもないのだけれど、一から十まで自分たちのチカラだけで行える『ZINE作り』は、表現する楽しさを存分に味わえる作業であるし、作り上げた時の満足感も大きければ、褒められた時の喜びもまた、格別である。
最近に至っては自分たちのブログ(Traveling the World ~世界一周しています!~)上で少部数限定の通販も開始し、仲間と立ち上げた『福富書房』HP内での宣伝活動や、購入してくれる人々の『声』に支えられながら、家内制手工業での孤独な作業にせっせと精を出していたのです。
…すると…。

2011年11月某日の良く晴れた午後。
年の瀬を間近に控えて浮き足立った気分の僕らに、とある鎌倉の本屋さんから『福富書房宛』で1通のメールが届いたのである。曰く、

「以前から気になっていたのですが、travel zine の卸はしていますか?とても読みたいですし、当店にぜひ置かせていただきたいのです。」

そのコメントを読んだ僕らは、思わず飛び上がるほど喜んだ。
「どうしよっか、まずは…そうだ、まずは実物を見てもらって、本当に気に入ってもらえるのかどうか確認した方がいいんじゃないかなぁ?」

そこで、ブログでの販売実績がある3冊『vol.6 Buenos Aires 』『vol.8 MADAGASCAR』『vol.9 Days in MEXICO』のサンプルを早々に用意すると、事前にアポイントをとることもせずに、いきなりお店を訪問してしまったのである。気持ちばかりが焦っていて、『アポイント』って言葉自体がすっかり頭から抜け落ちていたのだ。それでも、そんな僕らの失礼に対して店主の荘田さんは嫌な顔ひとつすることなく、僕らと『僕らの ZINE』のことを暖かい笑顔で迎え入れてくれたのです。
12月初旬の鎌倉、やはり良く晴れた平日の午後のことである。
街には週末ほど人出もなくて、道行く人々はみな急ぎ足で僕らの前を通り過ぎていた。
冬の透き通った冷たい空気はジャケットの中にまで入り込んできて、電車の中で暖まっていた肌には ヒリヒリと痛いくらいであった。

鎌倉駅から、歩いて5分。
線路沿いに建つ新しい商業施設内に店を構える『books moblo』は、2011年10月にオープンしたばかりの素敵な本屋さん(古書店)である。大きな窓から差し込む日差しがとても気持ちのよい店内の造りはどこか日本離れした趣があり、それでいて古都鎌倉のイメージから離れるでもなく、絶妙なニュアンスを漂わせている。ある人はこんな風に言いました。
「…何となく、外国の小さな本屋さんみたいだね。サンフランシスコとかにありそうな。」
入口のドアを開けた途端、暖かい室内の空気に溶け込んだ『紙とインクの匂い』が鼻と買物欲を刺激してきて、「何から手に取ってやろうか。」なんて、そんな気分にさせられてしまった。
よく整理された棚の上には店主の『こだわり』を感じさせる古書や雑貨の数々が並び、いくらでも時間を過ごせそうな心地良さが店内に満ち満ちているのである。

ただし、今日に限って言えば目的は『買物』ではなく、あくまでも『営業』なのだ。
…じゃぁそうなると、まずは何て言って声をかければいいんだろう…
ここまで来ておいて悩むことじゃないだろうと、それは僕ら自身も分かってはいたのだが、入店と同時に何故か頭が真っ白になって、最初の言葉が口から出てこなかったのである。
すると、そんな僕らを見かねたように同行していた福富さん(福富書房アートディレクター)が横からその『最初の一言』をポンと、とても自然な調子で店主に投げかけてくれたのである。
…まるで、引っ込み思案な兄弟2人とその親…みたいな関係ですね。

「すみませんが、オーナーの荘田さんて方は…。」(福富)

「あぁ、私ですけど。」(荘田さん)

そこからは流れの中で僕らも二言三言の会話をようやく交わし始め、
とにかくまずはこれを!…な勢いで、ZINE のサンプルをドサッと手渡した。

「おぉ、これですか。…うん、いいですね。渋いですねぇ。」(荘田さん)

「あ、あ〜ざっす!!」(僕ら)

勿論、僕らもそれなりにこだわって travel zine 制作をしているのだし、
一部づつ丁寧にハンドメイドで縫い上げた『作品たち』に自信が無かったってわけじゃないのだけれど、実際にこうして面と向かって人から認めてもらえるっていうのはやっぱりとても嬉しいものだし、平静を装おうとしたところでどうにも顔が綻んでしまう。
きけば店主(荘田さん)は年齢的に僕らと同じ世代であるらしいから、何となく感覚的にも『共感』できる部分があったのかなぁなんて、ふと思ったりしました。

…まったくの暗中模索で始めた ZINE作り だったけれど、続けていれば色々と展開があるもんだな…。

やっぱり『継続は力なり』で、たとえその『力』自体は小さなものだったとしても、そこに込められた思いや情熱は、少しづつ、でも確実に人から人へと伝わっていくものなのだ。

そんなわけで、北鎌倉の隠れ処から不定期に発信している”旅のススメ”『travel zine』は、
鎌倉の古書店『books moblo』さんにて只今絶賛販売中です。

世界一周しています!のZineが鎌倉の「books moblo」さんで買えます|お知らせ

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