福富書房

かえる。

渚の表面 その2

ランダムノート

2013年5月25日|福富 弘人

渚をさくさく歩く。
ガラスの破片をうっかり踏むと痛いよ。
足運びが、尖った貝殻を無意識に避けた。
臆病な蟹が、こそこそ岩場の穴へ逃げた。
人の足と、蟹の足が避難した。
渚の表面には無数の何かが潜在していて、
生き物は必要な意味を引き出している。
墨、有機溶剤、ロイコ染料などを用いた「渚の表面」の連作。
薬品の混合が「にじみ」の化学変化を起こし、表面の肌理は微細な粉を噴く。
色の劣化がいとおしく、長く紫外線に晒した跡の姿を完成としている。
物質と生物の間の「渚の表面」。

「見渡せば 花も紅葉もなかりけり 浦の苫屋の秋の夕暮れ」藤原定家

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